道路を通行するのに許可が必要?
車で道路を通行するのに許可が必要になることがあるのをご存知でしょうか?普通の自家用車であれば許可は必要ありませんが、一定の幅、高さ、重量などを超える大きな車の場合は、その車両の情報や通行経路を申請して許可を取得する必要があります。
これを「特殊車両通行許可」と言います。
道路には一般制限値と呼ばれる基準が定められておりこれを超える車両は許可が必要となります。
<一般制限値>
・幅:2.5m
・高さ:3.8m(高さ指定道路4.1t)
・長さ:12m
・輪荷重:5t
・軸重:10t
・2つの軸重の合計:18t(軸距離により20t)
・総重量:20t(重さ指定道路25t)
以前はこの一般制限値を超える車両を運行させる場合でも許可を取得していないケースもありました。しかしここ数年、特殊車両通行に関する規制が厳しくなったことやコンプライアンスの観点から許可を取得される方が増えています。無許可運行をしている会社であることが公になる可能性もあり、信用への影響は大きいと思われます。
特殊車両通行許可は
オンライン申請ができます!
特殊車両通行許可を取得するためには、窓口で申請する方法とオンラインで申請する方法があります。オンラインで申請すると申請のみならず許可証の受け取りもオンラインでできるのでとても便利です。
特殊車両通行許可のオンライン申請をするには、まず国土交通省の特殊車両通行許可についてのホームページ内のシステムを利用します。申請者、担当者や代理申請をする場合は代理人の情報、車両の情報などを入力していきます。指示に従って入力していけば良いように思いますが、慣れていないとかなりの時間がかかります。
特殊車両通行許可のオンライン申請のシステムはすべて無料で利用することができるので、まず始めはご自身で試してみて、無理そうであれば申請の専門家である私たち行政書士にぜひご相談ください。なかなかややこしい部分や説明が不十分であるところが少なくないのでとてもわかりづらいと思います。
申請後、約3週間が許可が下りる目安となっていますが、とても混雑しているようで2か月以上かかることも珍しくありません。実際に特殊車両を走行させる日に許可が間に合わなければ意味がないので早めの対応が必要です。ちなみに窓口で申請してもオンラインで申請しても原則として許可までの期間に差はありません。
許可は下りても条件が付く?
申請を出すと、結果として許可が下りる場合、許可が下りない場合、そして条件が付けられて許可が下りる場合の3パターンがあります。
「この区間はこのような条件で走るように」というような指定があり、その条件はB〜Dの3種類です。
〈重量についての条件〉
B:徐行および連行禁止
ゆっくり走らなければならず、特殊車両が縦に並んで走ることはできません。
C:徐行および連行禁止、車両の前後に誘導車を配置
B条件に加え、誘導車が必要になります。
D:徐行および連行禁止、車両の前後に誘導車を配置させ、なおかつ2車線内に他車が通行しない状態で車両を通行させる
C条件に加え、2車線内に他の車両を通行させないことが必要。
〈寸法についての条件〉
B:徐行する
C:徐行および誘導車を配置
特殊車両通行許可を取得するのはもちろんのこと、許可に付けられた条件も遵守しなければなりません。許可証の条件をよく確認してから通行させるようにしてください。
特殊車両の無許可運行には罰則があります!
無許可で特殊車両を通行させると、その道路の道路管理者から通行の中止を命じられます。命令に違反する、常習性がある、などの場合は罰金や懲役刑を受けることもあります。
・無許可、許可の際に示された条件に違反
100万円以下の罰金
・道路管理者からの措置命令に違反
6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
・通行許可証不携帯
100万円以下の罰金
特殊車両通行許可申請の際に必要なものは?
特殊車両通行許可を取得するために必要のものは以下の通りです。
・車検証:申請書に車両の大きさなどの情報を記載しなければなりません。また、申請の際に車検証のコピーの添付が必要になることがあります。
・型式三面図:車両のサイズなどを図入りで説明しているものです。例えば地上から荷台までの長さや前輪から後輪までの長さなど車検証ではわからない車両のサイズがわかります。
・出発地と目的地の名称と所在地の情報:それぞれの場所の名前と所在地がわかれば問題ありません。
・積載する貨物の情報:積載する貨物がある場合、その大きさや重さなどの情報が必要になります。
※委任状:行政書士に依頼する場合は委任状が必要になります。
原則としてこれだけの情報があれば、申請をすることが可能です。しかし簡単そうに見えて申請書の書き方には独自のルールがあったりこれらの情報をもとにさらに調査をしなければならないことがあったりと一筋縄では行きません。
特殊車両通行許可はオンラインで申請することもでき、オンライン申請システムは無料で利用できるので、試しに申請をしてみてめんどくさそうであれば外注することを検討されてはいかがでしょうか。平松智実法務事務所にご依頼いただければ上記の3点をご用意いただくだけですぐに申請をすることができますのでぜひご連絡ください!もし型式三面図などが見当たらない場合でもお気軽にご相談ください!
特殊車両通行許可のオンライン申請から許可が下りるまで
特殊車両許可は窓口での申請もできますが、オンラインでの申請の方が移動の手間がない分、楽なのでおすすめです。特殊車両オンライン申請システムにログインし必要事項を入力していきます。この時に必要になるのが、車検証と型式三面図です。
車検証はともかく型式三面図は聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。型式三面図は車両の寸法を詳細に記載した図のことです。車検証では車両の全長や高さ、幅くらいしかわかりませんが、型式三面図は車輪と車輪の間の長さや地上から荷台までの高さなども記載されています。
車両の情報に続いて積載物があればその大きさや重さなどについても入力します。特殊車両通行許可が必要になるか否かは積載物を積んだ状態で判定されるので、積載物についての正確な寸法、重さについて確認しなければなりません。
最後に出発地から目的地までの経路を入力します。オンライン申請システムに収録されていない道路を通行するときは、その道路の管理者が誰かを調べ、そこに電話して路線名(道路の名前)を聞いて入力しなければならず、なかなか手間です。通行する経路がオンライン申請システムに登録されている道路のみを通行する場合は、早く許可が下りる傾向があります。
申請から許可までの標準処理期間は3週間となっています。申請内容によってはこれよりも早く許可となることもあれば1~2か月かかる場合もあるようです。最低でも3週間はかかる、それよりも早かったらラッキーくらいに思っておくのが良いと思います。
オンライン申請システムで申請していれば許可証もオンラインで受け取ることができるので、便利です。通行する道路により手数料が決まり、手数料入金の案内が届くので支払いをします。これで、特殊車両通行許可は終了です。ただ、文章で書くと簡単そうに思えますが、慣れないと操作方法が難解なことや専門用語が多く使われていることから、とても時間がかかります。
試しにご自身でやってみて、めんどくさそうであれば平松智実法務事務所にご依頼ください!
特殊車両通行許可申請の際の経路はどうやって決める?
特殊車両通行許可申請をする際にもっとも重要と思われるのが通行経路の決定です。どの経路を通るかによって手数料、許可までの時間、条件が付くかなどが変わります。特に許可までの時間はできるだけ短く、条件はできるだけ付かないに越したことはないので、これらを踏まえて経路を決定することも必要です。
オンラインで特殊車両通行許可申請をする場合、オンラインシステム上の地図を使いどの交差点を通るかを、出発地から目的地まで指定していきます。自分が目的地までの道のりを知らないと指定することはできないので、グーグルマップなどで経路を検索しそれを参考に経路を決めます。
この時に注意してもらいたいのは、オンラインシステム上の地図に路線名(道路の名前:県道〇号線など)が登録されていない道路を通行することになるときです。このような場合は自分で路線名を調べなければならないことに加え、申請先でその道路を調査することになるので許可までの時間は長くなります。
出発地から目的地まで道のりを決めたら経路の算定ができます。経路の算定とは、指定した道のりの中に個別に審査する必要がある箇所があるか、条件が付される場所があるかなどを確認することです。これを確認し、必要があれば経路を変更することもあります。
個別審査になると許可までの時間は間違いなく長くなります。またC条件やD条件が付くと実際に通行する際にコストと手間がかかります。C条件は車両の前後に誘導車を配置、D条件は車両の前後に誘導車を配置した上で2車線内に他車を通行させないようにしなければなりません。さらに夜間のみの通行許可となることもあります。
ただ、C条件を回避するのはかなり難しいと考えてもらって良いと思います。大きく迂回するなどすれば不可能ではないかもしれませんが、費用対効果を考え検討することが必要です。もちろん、車両の大きさや積載しているものの大きさなどによりD条件も回避することが難しいこともあります。
特殊車両通行許可の趣旨が、道路の保全と通行時の安全であるのでC条件やD条件が付された場合は誘導車を配置し安全に配慮してください。ちなみにA条件は条件なし、B条件は徐行となっています。B条件であれば通常の通行とほぼ変わらないので特殊車両通行許可の条件と言ったときはC、D条件のことを指します。
特殊車両通行許可オンライン申請時の留意点!
特殊車両通行許可オンライン申請の経路の設定の仕方には二通りあり、特殊車両通行許可オンライン申請システムに収録されている地図を使用する方法と、交差点番号を入力する方法があります。収録されている地図から経路を決める場合は、ルートを自動で探索してくれます。
ここで注意しておいてもらいたいのは、個別協議と条件の有無です。自動で経路を探索すると、表示された経路の上に「コ」「C」「D」と表示されることがあります。これは「コ」=個別協議が必要、「C」=C条件(誘導車両の配置)、「D」=D条件(誘導車両の配置と夜間走行など)という意味です。
通常、特殊車両通行許可の標準処理期間(申請から許可が出るまでの時間)は3週間ですが、個別協議が必要な個所がある場合は3週間以上となることがあります。また、C条件やD条件がつくと、必ず誘導車を配置しなければならないため、余計なコストがかかってしまいます。
出来るだけ個別協議やCD条件のない経路が望ましいと言えます。また、国指定道路を通行しない経路だとそもそもオンライン申請が出来ないということにも留意しておく必要があります。オンライン申請が出来ないと、窓口に書類を持っていかなければなりません。
この他個別協議になるケースとして、通行経路にオンライン申請システムに登録されていない道路があるときです。このような場合は、道路の名称を調べて入力することになります。道路名称の調べ方はその道路を管理している自治体に電話して聞くのが一般的です。
特殊車両通行許可申請の申請者は誰?
申請をするには当然ですが申請者がいなければなりません。私たち行政書士は代理することができますが、申請者がいてその人の代理となれるわけなので、そもそもの申請者が必要です。自分の会社の車両について許可を受けるのであればその会社の担当者や社長が申請者になれば良いでしょう。
ただ、自分の会社の車を他の会社に貸して運行をさせる場合や逆に他社から車両を借りて自分の会社で運行させる場合に誰が申請者になるべきなのかという問題が生じます。また、車検証を提出するので記載されている使用者や所有者がまったく関係のない人であった場合など迷うことがあるのではないでしょうか。
このことについて先日質問を受けましたが結論から言えば誰が申請者でも問題ありません。車検証の名義が誰であるかということについても申請や許可には影響しません。車両と経路に対する許可なので誰が申請しようが構わないというスタンスのようです。
どうでも良いことのように思えるかもしれませんが、申請をする上において誰が申請者になれるかという問題は重要なことです。例えば東京都の建設業許可の場合は申請者は法人の代表者か個人事業主だけです。特殊車両通行許可の申請も最初に記載するのは申請者についての情報です。